Blue Bird の旅

北ドイツでの生活

旅路4 2017年 不思議な花火と北欧への旅

前回までの話で、ふと、私に会いたいと言ってくれる人がこの人だけだ…と気づいた私。

なんとなく気になる気持ちはあるんだけど、まさか、ありえないという微妙な気持ち。

そんな時に彼が夏休みで日本に来るので、会いましょう、という連絡がまた来ました。何回か食事にも行っていたので、うむー、困った。もう外国人を接待できる楽しいアイデアがない。かと言って、高級料亭とか寿司屋とかで接待できる財力も経験もない…。と考えていたところ、そうだ、夏と言えば、花火!と思いついて、ちょうど来日している時に篠崎で花火大会があったので、「一緒にいきませんか?」と誘いました。なかなか、花火を見れることは少ないかな〜とか外国人には面白いかなぁとか考えて。

それがいざ行ってみると、大変な人混みではあったのですが、花火が素晴らしくて。豆粒のような人々が河原に集まって、みんな明るい夜空を見上げています。私も、うっとりと見惚れてしまったのですが、ふと、頭の中で、「あれ、私、このドイツの方と一緒に花火見てるって一体どういう状況?」「花火って家族とか恋人とか親しい人とみるもんだよね…(私にとっては)」「でもそんなに親しい訳じゃないんだよな」と自分でその状況を招いておきながら、冷静になる自分もいて、それはそれは不思議な気持ちになった夜だったのでした。

 

夏が終わり、秋が近づいて、33歳になった私も、なんとなくダラダラと悩んでいた自分の人生に区切りをつけ、人生初の一人旅に出よう!と決意しました。婚活、仕事、家族の悩み…あーもう、ひとまず色々どうでもいい!!これからは自分のやりたいことやる!!ということで、デンマークへの一人旅を計画しました。

なぜデンマークかというと、インテリアが好きだからです。北欧デザインが好きで、自分の好きなものが生み出される国や環境ってどういう所なんだろう、肌身で感じてみたい。どうせ行くなら友達とペチャクチャおしゃべりで終わるんじゃなくて、自分の生きたいデザインミュージアムや、カフェ、お店など、行けるだけ行く!と決めました。

フライトチケットだけ取って、あとはホテルはブッキングドットコムで…と意気揚々と予約したものの、その後本来小心者の私は何度も何度も、ひとりで海外旅行したこともないのに、北欧に飛び立つなんて!と思い、ガクガクぶるぶる。旅先の綿密なスケジュールをノートに書き出す始末。決断を後悔もしましたが、ひとり旅なんで、行こうよともやめようよ、とも誰にも何にも言われません。なので自分で課題を設定して自分で苦しんでいる状況。滑稽ですが、その時の私はそうでした。自分のために何かするのって、大変なんだなぁ〜と。

そんな時にふと彼のことを思い出し、そういえば北ドイツってデンマークに近かったよなぁ〜と思い、メールのやり取りの中で「今度デンマークに行ってみようと思うんですが、ついでに北ドイツにも立ち寄れたらいいなと思ってます!」というようなことを書き、その後で、いやまて、それは初のひとり海外旅行でさらに別の目的地に行くとかハードル高すぎだろう!と思い、「やっぱり今回は時間がないのでやめておきますね。もし時間があったらデンマークまで来てもらえたら嬉しいです♫」と気軽に書きました。その時は本当に気軽な気持ちで。

そして後からふと思い返した時に、「もしこれで、彼が北ドイツからわざわざデンマークまで来てくれたら、私に気があるかもしれないな…」と思いました。その時の私は、なんか気になる、向こうも私を気にしてるみたい、でも微妙…な時だったので、「まぁ、来るわけないな」と思って、デンマークの話を彼にしたこと自体を忘れていました。

それから仕事の休みの調整だ、旅行の準備だと追われて忙しくして、まもなく出発が近づいたころにまた1通メールが。「本当にデンマークに来ますか?いつ到着しますか?」と聞かれ、内心、あれ、来てくれるのかな?と思いましたが、まぁ、半々くらいかなぁという気持ちで、「いついつに、コペンハーゲンの空港に着きますよ!来れたら来てね!」とこれもまた気軽に。そしたら出発前日に「いきます!」との返事が。え…?

とにかく出発が迫っていたので、飛行機に乗り、飛行機の中でも彼が本当に来るのかどうか、ていうか来たとして無事に会えるのか?どうなるのかよくわからないまま、空の上を飛んでいました。

そして、コペンハーゲンの空港に降り立ち、初の1人海外でガクガクぶるぶるで声もかすれて出なくなるなか、荷物を受け取ってなんとか出口を出たところに…

いたのです、彼が。

人混みにまぎれて

赤いバラを一本、手に持って、

こちらにブンブンと手を振っている。

😳

いたー😳😳😳

初のひとり海外で極度の緊張状態にあった私は彼の姿を見つけた瞬間に泣きそうになりました。わー、こんな見知らぬ土地に知ってる人がいるー🥹

 

空港からホテルまでは電車に乗らなければならなかったのですが、彼が一緒にいる頼もしさと言ったら。彼は事前に私の取ったホテルの名前も聞いて来ていて、同じホテルの別部屋に一泊するとのこと。そして月曜日は仕事があるので昼には帰るとのこと。空港からホテルまで一緒に行けるの、ありがたい…今思うと、空港からホテルまで完全にひとりだったら、私辿り着いていたかな?と疑問になるほど、その時の私は緊張してました。(後から聞いた話では、このスケジュールはかなり強硬突破で、直前の予約だったので飛行機もかなり高かったそう。)

 

それから私たちはまた微妙な距離感を保ちながら、一緒にコペンハーゲンの町を1日観光し、夜は街を散策することにしたのですが、ホテルから街に向かって歩いている時に小さな花火が上がりました。多分それはチボリ公園で上げられてた花火だったのですが、短期間の間に彼と2回も花火を見るなんて、すごく不思議な気分でした。そして夜はレストランで食事をしました。朝起きたらまた半日観光し、彼は仕事のために昼過ぎに帰って行ったのでした。

帰った後も、私が心細いだろうと思ったのか、ホテルに毎晩北ドイツからお電話をくれました。私は彼にもらった赤い一本のバラを、萎れないように、ホテルにあったカップにさして水切りして、眺めてました。

「ドイツ人の男性は、平気で女性にバラをあげるのかな?」「レディーファーストの国だからな?」と

人生で初めて人からもらった真紅の薔薇に心を奪われていました。

しかし、その後の1人での大冒険の緊張感の方が高まり、彼への気持ちは来てくれた、そしてお電話くれる安心感の方が強くなり、自分の気持ちに確信は持てないでいました。

でもコペンハーゲンでもらった1本の薔薇によって、私の心が動き始めたようでした。

そんなこんなで、コペンハーゲンでの1週間ほどの大冒険の旅がおわり、帰途につきました。この旅については、また別途、まとめてみようと思います。