Blue Bird の旅

北ドイツでの生活

子供がえり

こちらに来て生活する中で、

「できない」ことが増えました。

大体が、言葉がわからないことに起因するんですが、日本にいたときはなんでもひとりでできたのに、こちらでは旦那さんの力を借りないと何もできない。いや、何もできないわけじゃないけど、社会的な活動が難しい。

読めない→わからない→できない

これは初めのうちだけだと思いたいけど、一体いつになったらできるようになるのか?そういう焦りや不安が募ってくるようになりました。

例えば、運転。東京に住んでいたときは、車が必要だなんて微塵も感じませんでした。

電車や、バスが網の目のように張り巡らされていて、財布ひとつ、いやSuicaひとつさえ有れば大概のところに行ける。それで車を運転したり、持ったりすることに興味すらありませんでした。

でもここに来たら移動手段は基本、車。車がないと、何にもできない。散歩しかできない。ならオンラインショッピングすればいいじゃんと思えば、全然届かない。最低1週間はかかるんですよ。

ドイツ移住のために、ミッドサーティにも関わらず日本で運転免許もとりました。でも殆ど未経験なので、こちらでスイスイすぐに運転できるようになるわけもない。なので大体旦那さんに運転してもらって、車でどこかに行くわけなのですが、その運転に感謝しつつも、やっぱり自由がないって思ってしまう。いかに、自分の意思で、行きたいと思ったところに自由に行けるってことが素晴らしいのかと実感しました。

そうやって色々「できない」が増えていくと、自信を失っていきます。

旦那さんはとても優しいので、色々手伝ってくれるし、助けてくれます。

初めのうちは、ありがたいな〜と思って素直に甘えてるのですが、ふとこんなに何も出来なくて大丈夫なのかと思い始めるのです。

そりゃ、甘えてるのは楽。できる限り甘えていたい。でも、誰かに何かをしてもらうっていうのは同時に自分の自由が効かないことも感じ始める。自由が効かないと同時に無力さも感じる。「できない」ってこんなにがっかりすることなのか、そう改めて思いました。

それでありがたいと思いつつも不満を持ち始めて、複雑な、イライラしたような気持ちになるのです。それで旦那さんにその自分のモヤモヤの矛先が行ってしまう。

これなんだろうな〜と考えてみたところ、ふとこれは、「思春期の子供」の心理かなと思いました。反抗期は、自立したいけど自立しきれないので甘えたい、でもとやかく言われたくない、というが気持ちがないまぜになって起こるんじゃないかという気がしました。

 

わたしには反抗期がありませんでした。

父親が厳しかったので、子供のころから、いつも自立しろ、勉強しろと言われていたので、あまり甘えられなかったとは思う。でもこの第二の思春期を迎えて思うのは、それって尊重されてて、自由を与えられていたのかもしれない、だからあまり複雑な感情はなく、反抗する必要がなかったのかもしれないと思うようになりました。でも反対に、甘えたい気持ちは残ってしまったかも。

 

子供から大人になるまでに、もう無限の「できた」を経験してきて、その経験の上に経験があって、「できた」を噛み締めることって大人になってからはあまりなかったと思います。

今は、その「できた」が出汁を飲んだ時くらい沁みるのです。

 

旦那さんとは歳が離れてるので、夫婦というか、父親かお兄ちゃんのような気がしてくる時がある。駄々をこねている私は彼にとっては娘か妹のような気持ちになるんじゃないかと思います。

ああ〜赤ちゃんがえりしてしまった…と思ったりしてすごい恥ずかしい気持ちにもなるんだけど、そうやって恥ずかしい部分も見せられる相手でよかったなぁと思う。父親に甘えられなかった部分も含めて甘えてしまっているとも時々思う。そうやって色々役割を行ったり来たりしながら旦那さんの忍耐を土台として、私たちはなんとなく全体的にうまく行っているみたいです。

でもこの10ヶ月でひと通りのグズグスをやり切って、なんかスッキリして、これからは少し大人になれる気がしてきました。

よかったことは、「できない」を感じることによって、自分の中の自立心も改めて感じることができたことです。「できない」のはやっぱりいやだ、つまらない、やっぱり自分で色んなことができるって自分にとっては嬉しいこと、大切なことなんだなって、改めて思えて、そんな自分のことが好きになりました。

もう一つ、よかったことは、子供の時に甘える機会を逃してきた私にとって、この期間はしっかり人に甘えることができた期間になりました。そうやって人に受け入れてもらえると満足できるし、人に助けてもらうということもしやすくなると思います。これまでの私はひとりで踏ん張ろうと頑張りすぎていたかもしれません。

ここからは思春期が終わった大学生くらいの気持ちで、進んでいけそうかな〜と思ってます。

また少しずつ「できる」を増やしていきたいな。