Blue Bird の旅

北ドイツでの生活

母をドイツへ

ここしばらく、タイムラインも更新せずにシーンとしていた私ですが、ついにやりたかった大きなプロジェクトをやり遂げました。

「母をドイツへ」です。

旦那さんと結婚に至るまでの道のりをまだ書き切っていないので、かいつまんで話すことになってしまいますが、結婚する前までに母は旦那さんに一度しか会ったことがありませんでした。

それは結婚の挨拶に行った時のことで、その後、すぐにコロナが始まってしまって、お互いの国を行き来するのが難しくなってしまったのです。

ドイツで結婚式を挙げる予定にしていたので、母も、家族も呼ぶ予定でしたが、それもダメになり、仕方なく1年前の8月、私は単身でドイツへ行って、2人だけで結婚をしました。(旦那さんの家族は来れたかもしれませんが、バランスが悪いので2人だけにしました)

そんなわけで母は一度も私がどんなところに住むのか見たこともなく、ウェディング姿も生で見たことがなく、いつになったら…と考えているうちに、はや1年が過ぎようとしてました。

できなくなった結婚式は、1年後に…!と希望を持っていたけれど、世の中の状況的に結婚式をやっているムードではない。でもせめて、去年できなかったことの中で1番悔やまれることをやりたい、それは母をドイツに連れてきたい、ウェディングドレスを見せたい、ということ、それを実現することにしました。

 

母も私も運良く、少し早めにワクチンを打つことができたのでよかったのですが、その他にワクチン証明の手続きや、日本帰国時のためのテストや隔離や保健所からの連絡など、普段の旅行よりも複雑なことが多く、少しためらいましたが、母もいい歳だし、また来年、て言っても未来がどうなるかわからないし、思い切って実行しました。

母は個人での海外旅行の経験がなかったので(大体ツアーか、父と)私が迎えに行って、連れて帰ってくるという、護送ツアーにしました。

これがなかなか…

まず8月上旬に日本に帰ってきて、2週間隔離。それからドイツへ母と飛んで2週間ほど滞在。またそこから日本へ一緒に帰ってきて2週間隔離。ただ今日本にいて、まだ、隔離中なんです。

移動には慣れてきていたはずなんですが、合計3回の7時間時差適応と、長時間移動、母を安全に行き来させねばという責任感、コロナ関連の出入国手続きの緊張感で、日本に帰ってきてからもしばらく緊張が続いてましたが、1週間位経って疲れがどっと出て、撃沈しました。無になったのち、今はやっとちょっと元気が出てきたところです。わぁ〜地味に限界越えかけた、って思いました。母にも大変だったと思います。

でも私の人生として、絶対にやりたかったことができて、よかった。母には、結婚記念日にホテルで、サプライズでウェディングドレスを着て登場しました。

将来振り返った時に、あの時、母にウェディングドレスを見せられなかったとか、ドイツで住んでるところを見せることができなかった、と後悔したくなかったのです。結果、エイヤー(これは勤めてた会社の語で力任せとかパワープレイという意味です)でしたが、うん、よかった。

今回の帰国はあまり友人や周囲の人には話しませんでした。コロナの状況、オリンピックもあるし、自分の想いや葛藤を全部伝えるのも長くなりそうだし、もう、スッと帰ってきて、スッと母を連れて行ってまたスッと帰ってこようと。

でも終わってみると自分が大変で、スッとなんていかなくて、あ〜もっと色んな人に話しておけばよかった、そしたらお疲れ様とかがんばったねとか優しい人は言ってくれるだろうに…。

でもこれは私が本当に私のためにやりたかったことだから、これでよかったのだと思う。(姉には「いずみんピック」と言われました。世はオリンピックの最中にこんなプロジェクトをやっていたもので)

コロナも落ち着いて和やかな世界になったら、実はね…と話せる時が来るかもしれないなぁと期待して。

 

今回私がこだわったのは、父のこともあるのです。父は私が28歳の時に亡くなって、私がどんな相手と結婚してどんな所に住むのか、知らず、ウェディングドレス姿すら見せられなかった。父にとってはどうでも良いことだったのかもしれないのですが。

これが今回コロナに邪魔されて、見せられるはずだった母にも見せられない。そんな運命に腹が立ったのもありました。せめて母だけには立派にお嫁に行った姿を見せたかったのです。(立派とはまだ言えませんが)

 

来年2022年は父が亡くなって丸10年です。

ある先輩が言ってました。その人も父親を早くに亡くしたのですが、「亡くなって7年位は寂しいよ」って。その言葉が心に残っていて、7年、7年、と心の中で思っていました。

たしかにその人の言っていたことは合ってる気がしました。7年位経った頃から、会えなくて悲しい気持ちが消えてきて、今度はいつも一緒にいるような気がしてきました。いつも一緒というよりは、父のことを考えれば、すぐふと身近に感じられるような気がするようになりました。ずーっとこの温かい気持ちが続いたらいいなと思っている今日この頃ですが10年の節目を迎えたら、私の気持ちは変わるのかな?変わらないのかな?

今回は母だけでなく、両親に来てもらったつもりです。きっと父も私のウェディングドレス姿を見て、涙してくれたはずです。

ああ〜パパがここに来たらあんなことやこんなこと言うかな、とか考えながら。いやパパがいたらむしろもっと大変だったかも!笑

 

さて、この大きなプロジェクトを終えたら、また私の新たな日常が待っている。沢山の不安もあるけれど、未来の笑っている自分に出会えるようにまた前に進んでいくのみです。

おやすみなさい。